―「……ということなのだが、協力してくれるよな?」 ところ変わって天界。 時としてはアッシュとスマイルのアンコ騒動の辺り。 アッシュいわく変態吸血鬼ユーリは、MZDに今の状況を説明し終えた所だった。 「…つまり?お前はスマイルにいい所見せたいから雨止ませろと?」 「あぁそうだが。何か異論でも?」 どこまでも高慢な態度をとるユーリに、神であるMZDはキレた。 「あるに決まってんだろう!! 俺が何でお前ら個人の頼みをいちいち聞かないかんのかっ! 大体頼むなら其れなりの態度を見せやがれっ!!!」 MZDがユーリに対してマシンガンのごとく怒声を浴びせる。 しかしユーリは、まったく気にも留めていない様子で、 「私だって物事の頼み方ぐらい知っている」 と答える。 「じゃあなん…「だが何故それを今使わなくてはいけないのだ?」 『じゃあなんでそれをしないんだっ!』 と言おうとしていたMZDの言葉を遮り、ユーリがそう発言する。 そしてMZDが返答する前に、平然とユーリが話を続ける。 「勘違いしている様だから言っておくがな、 これは『お願い』などではない」 そこで一旦呼吸を置くと、MZDがさらに怒るであろう一言を発する。 「『命令』だ」 「お、お前はっ!」 ユーリか平然としているのに反して、 MZDはどんどん顔を赤らめ、怒っていく。 しかしそんな状況でも冷静にユーリは話を進める。 「何故怒る…?、まさか『あの』出来事を忘れたとは言うまい。 貴様と、貴様の妻に対して200数年前、私が何をしてやったかを…」 クックックッ…と、声を殺し、不敵に笑うユーリ。 ついに降参したのか、MZDは諦める口調でこう言った。 「お前は昔から変わってねぇなぁ……」 「それがどうかしたか?」 ん?と言いつつ口元を吊り上げるユーリ。 「……わかったよ、お前の言うとおりにしよーじゃねぇか」 と、言い放つが早いか、MZDはオレンジ色の光に身を包み、 次の瞬間には、もう消えてしまっていた。 それを見届け、ユーリは翼をひろげ、地上へと降りていった………― ―「あっ、ユーリだぁ〜おーいっ!!」 空から降りてくるユーリにおもいっきり手を振る。 よーやく帰ってきたヨ、まぁさっきから2.3分しか経ってないんだけどネ〜。 「チッ、帰ってきたッスか…」 隣のワンちゃんが唸ってるけどムシムシ。 ボクは窓からリビングに降り立ち、翼を納めたばかりのユーリに 「なんで、MZDのところにいってたのサ?」と聞くと、 「な、なぜそれを……」 最初戸惑ってたみたいだけど、答えをみつけたみたい。 「そうか…犬っ!貴様だな?」 そう言うとアッシュのふところへ間合いを素早く詰め、首を締め上げる。 ギリッギリッ…ミシッ! あっちゃぁ〜さすがにこれは止めないとネ。 「はいはい、止めなさいっ」 ボクはパンパンと手を叩くと、ユーリがようやく手を離す。 「げほっげほっ。く、苦しいッス…」 アッシュが慰めてと言わんばかりに擦り寄ってくるが、 そんなの自業自得だもんねぇ、ムシに決まってる。 「そんなことよりお月見ーっ!」 まったく、二人とも最初の目的忘れてるヨ。 するとアッシュが(ゲホゲホいいながら) 「あぁ、でも雨が…」 うっそうだった、雨降ってたんだ。 「そのことなら心配ない、ほら、外を見てみろ」 そうユーリに言われて、窓に駆け寄って見ると、 「うわぁ〜、きれい〜」 そうなのだ、空は晴れて、きれいな真ん丸お月様が出ていた。 でも…あんな豪雨がそう簡単に止むのカナ? そう考えてると、ユーリの呟きが聞こえてきた。 「ふむ…奴め、やはり時間通りだな」 その瞬間、ナゾは解けたっ!(キラーン) っと、何探偵みたいになってるんだよ、ボクは。 「ユーリが…ユーリがMZDに頼んで 雨を止ませてくれたんダネ?」 「ご名答、さすがだなスマ」 …謙遜しないところがユーリらしいけど、 それでもうれしい。 「アリガトッ!!ユーリ」 「…変態が…」 後ろの方でアッシュが何か言ってるけど気にしない。 「さぁ、お月見しよーヨッ!」 「そうだな」「そうッスね」 お団子を取りにキッチンに戻ったアッシュが来る前に、 二人でバルコニーにあるテーブルの上を片付ける。 「ネェ、ユーリ」 「ん?」 ボクはユーリに話しかける。 「お月様って…なんでこんなにキレイなんだろうネ」 何気ない疑問。 「さぁな」 素っ気無い返事、でも、今のボクにはそれで十分だった。 「お団子もってきたッスよー」 ようやくアッシュが来た、 もちろんおいしそうなお団子をもって。 「さぁっ!お月見ダァ!!」 「はいッス!」「うむ」 すすきを飾って、お団子を供えたら準備は万端っ、お月見だ。 ほら………だって今日は、 お月様があんなにキレイなんダヨ? fin.
ついに完結しましたっ!長らくお待たせしてスイマセン。
今回のSSでぬーぬぬはひとつ成長して、スーパーぬーぬぬぐらいにはなれたきがしますw
deuilのほのぼのさが分かっていただけると幸いですね。
背景写真は自分のデジカメでとったものです。
どうでしょうか(;^_^A アセアセ・・・