― 「ふぇぇ〜ん」 「やーい、や〜い。クレスがまた泣いたぞぉ〜」 タッタッタッタッ…… ゲシッ!! 「お前らっ!!次クレスになんかしたらマジで射つぞっ!!」 「や、やべっチェスターだ!逃げろ〜!!」 ダダダダダダッ…… 「ふぅ、まったく…ほらほらクレス、いい加減泣き止めって」 「だって…ヒック、だってぇ…」 「ほら、もう悪い奴はいないんだから」 「でも…でも、ヒック、また来るもん…」 「大丈夫だって。オレが絶対助けてやるから。 恐いのも、痛いのも、全部オレが受けてやるから。」 「ヒック…ホント?ホントにホント?」 「あぁ、ホントだよ、約束だ。よし、指きりしよう、な?」 「うん…」 〜 指切拳万嘘ついたら針千本飲ーます 「「指きったっ!!」」 〜 ―いつか交わした約束― フッ…と目が覚めると、そこにはあまり見慣れない天井。 「ここは…」 ようやく頭がはっきりしてきた。 ここは、常闇の街と呼ばれてるアーリィ。 壁にかかった時計を見ると、時刻はまだ夜中の3時。 「フッ…」と俺は自嘲気味に笑う。 明日…明日全てが終わる。 俺も少しばかり緊張してるのだろうか…。 そんな感情、とっくに捨てたと思っていたんだがな…。 それにしても… 「フッ…」と今度は、純粋な笑みがこぼれる。 幼かった頃のクレスの夢は久しぶりだ。 昔は…あんなに弱かったあいつが、今じゃ俺みたいに… いや、俺よりか? 強くなりやがった。 情けねぇ…あいつを…あいつを絶対に守るって決めてたのにな…。 いけねぇな…こんな事考えてたら寝れなくなっちまう。 少し…夜風にでもあたるか…。 そう考え俺は宿の外に出る。 何処に行くかな…そう考えつつ歩いていると、 先程の夢の超本人が前を歩いてるのが見えた。 足元の雪で多少足を取られながらも、 俺は小走りでクレスに追いつくと、肩を軽く叩き、声をかける。 「よぉクレス。お前も眠れないのか?」 と言うと、クレスはビクッ…と肩を震わせこちらを向く。 クレスは俺と目が合うと、ホッとしたかのように胸をなでおろし、 「何だ、チェスターか。びっくりしたよ」 と、確認するように言った。 「誰だと思ったんだよ。どうせ俺しかいねぇだろ?」 俺がそう言うと、クレスは 「まぁね」 と相づちをうつ。 そんな他愛もない会話を続けながら、2人で街をぶらつく。 俺が少し前を歩き、 クレスがその後ろから付いていく形でだ。 さすがにこの時間になると、人もほとんどいない。 雪だけがシトシトと降り積もる中… シャク…シャク……シャ………… ふと、クレスの雪を踏みしめる音が聞こえなくなる。 俺は振り向きながらクレスに尋ねる。 「どうしたん「怖い…」 一瞬何と言われたのか理解出来なかった。 「怖い…怖いよチェスター。 俺、ダオスと戦うのが…すごく怖いんだよ」 と、クレスは俯き、拳を握り締めながら言う。 「どうしたんだよクレス…。 お前は強くなった、今更何を怖が「違うっ!!」 クレスはそう叫び顔を上げる。 その目の端には薄らと涙が溜まっている。 「俺、強くなってなんかないんだ。 俺…怖いんだよ、人が……いや、何より自分が死ぬのが…」 そう言うと、堪えきれなくなったのか、 クレスの両目から涙が溢れ、白く積もった雪の上に、淡い染みを作る。 ハッ…とさせられた。 そうだ…何故俺は忘れてたんだろう。 俺が知っていたクレスという奴は、決して人前に立つような奴じゃなかった。 こいつは… クレスは…背が小さくて、弱くて、泣き虫で、甘えん坊で… そんな幼い頃のクレスと、今のクレスが重なる。 あぁ…本当だ…。 こいつは、何も変わっていなかった。 こんなに…こんなに小さな背中に、 世界を救うという大きくて重い荷物を背負って、 誰にも何も弱音を吐かず、ここまで来たんだ。 つらかっただろうに…、 こいつは今まで泣かなかった。 ふと、今の状況に先程見た夢の後景が重なる。 「ほら…クレス、泣き止めって」 「だって…だって…ヒック…」 俺は、クレスをきつく抱きしめ、頭を撫でる。 そしてクレスの耳元でこうささやく。 「大丈夫だって。 怖いのも、痛いのも、全部俺が受けてやるから。な?」 すると、クレスは首だけを後ろに引き、 俺と目を合わせると、泣きながらも無言で首を横に振る。 俺は訳が分からずに 「どうした、嫌なのか?」 と、問う。 「ヒック…だって…だって、 そしたらチェスター怖くて痛く…ヒック、なる…」 あぁ… 「だからね…ヒック」 どうして 「怖いのも、痛いのも、半分ずつ…ね?」 どうして俺はこいつがこんなにも愛しいのだろうか。 「分かった…。怖いのも、痛いのも半分ずつな」 そう言うと、俺はクレスを抱き寄せ、更に力を込めて抱きしめる。 痛いよ…と泣きながら笑うクレスが、今は1番愛しい。 あぁ…神様。 どうか、クレスを守ってやってください。 こいつを…こいつを死なせる訳にはいかないんです。 フッ…と、クレスは顔を上げる。 「ちっちゃい頃も…ヒック、こんな約束したよね」 泣きながら笑顔になるクレス。 俺は何も言わず、 もう一度クレスを抱きしめた…… fin.
恥ずかしいぃぃぃぃいい!
と言うことで、初テイルズ小説でした。
元ネタを知らない方は、コチラ
本当にこれを書いてる時は恥ずかしかったです。
相互リンク記念として(遅すぎるけど)Natural Starの蒼風ミズキ様のみお持ち帰りOKです。
あー、恥ずかしいw